午前一時、国道沿いのコインランドリーでだけ受信できるラジオ番組がある。 名前は「旅路ラジオ」。
パーソナリティは名乗らない。 ただ、洗濯機の回る音に合わせて、 リスナーから届いた「途中の話」を読む。
「会社を辞めると家族に言えないまま、三週間経ちました」 「告白の返事を保留にしたまま、季節がひとつ終わりました」 「許したいのに、まだ痛いです」
どの便りにも、答えは出ない。 代わりに短いピアノの間奏が流れる。
その間、店の蛍光灯がいつもよりやさしく見える。
番組の最後に、パーソナリティは必ず同じことを言う。
目的地じゃなくて、途中にしか咲かない花もあるよ。
乾燥を終えたタオルを抱えて外へ出ると、 まだ夜なのに、道の先だけ少し明るかった。